ジブ道具メンテナンス

スノボードの中でも少し特殊なジャンルなので、道具メンテナンスについて管理人の実践例を紹介します。ついでにプロテクター使用例も。

総自研的ジブ_道具メンテナンス編---管理人の実例紹介---

のメンテナンス

ご想像の通り、が大変な事態になります。相手が鉄だったりするので当然ですが、擦って火花出した次の瞬間、着地で瞬間冷却といった具合で、エッジにとっては焼き入れ工程の自動生産ラインのような 試練が待ち受けることになります。ただし、ベースエッジを-3°くらいに落とし、ソール面でしっかり擦るようにすると、ミスさえ無ければエッジの劣化はかなりマシになる気がします。管理人はベースエッジの初期設定は-2〜2.5°くらいにしてますが、やってる内に 叩かれて直ぐ-3°くらいになっていると思われます。ソール研磨に出さないとベースエッジの調整がまともにできないので、相当ソールが酷い状態になるまではベースエッジはそのまま放置します。通常は2〜3回行く度にサイドエッジだけ研磨します。ワックスは屋外ゲレンデは毎回、 屋内ゲレンデは横着して3〜4回に1回程度でアイロンをかけます。無駄な時間の気がしてベースワックスは塗らず、直に滑走ワックスを塗ります。ちなみに、ベースエッジの角度を落とすとカービングの切れが悪くなると思っていましたが、エッジが丸くなってさえいなければ思っていた程は 変わりませんでした。ただし、ジブ練習していると、どうしてもエッジが丸くなるので、斜面状況によっては流れやすくなります。よって、通常の滑り方をするよりもエッジの目立て頻度は上がり、の使用サイクルも早くなります。まあ、ここまでは仕方がないものと諦めて、 財布と相談しながら選択して擦ればいいのですが、問題はクラッシュでエッジが剥離したり、折れたりするケースです。特に高めのサイドインやローテーション技にチャレンジし出すと、どうしても引っかけてそういった状況になりやすくなります。その度に修理に出すと結構な出費になるばかりか、 シーズンオフに破損した場合(屋内ゲレンデに通ってるとありがち)など、修理に出すと普通に1ヶ月くらい待たされます。そういった諸々の事情から、軽い(?)エッジ剥離の場合、管理人の場合DIY修理をしています。 下の写真程度のエッジの浮きであれば、隙間にピタガンの溶剤を を押し込み、万力で一日くらい固定すれば充分接着します。エポキシ樹脂タイプ等の接着剤も色々試しましたが、硬化しすぎるタイプはのフレックスに付き合いきれずに亀裂が入り、柔らか過ぎるとエッジ変形後の残留応力で引き伸ばされて破綻したりしてしまい、結果、現時点では管理人の場合、 ピタガンを修理材に採用しております。現在使用しているものは、ホームセンターでも入手できる一般的な酢酸ビニル共重合樹脂タイプで、作業性が良く、2液タイプ接着剤などのように、誤ってソールに付着させてしまうリスクも低いというのも気に入ってます。ただし、修理業者に出すか 新しいに代えるのに越したことはありませんから、「あーなるほど、このジブキチガイ貧乏オヤジはそんなことしてんだ。」と、参考程度に見てください。(ベースエッジ??? という方はこちら→)エッジ調整基本編

 ↑ 管理人はこの程度のエッジ破断、浮き上がりはピタガンで修理しています。

 ↑ ピタガンを浮き上がった隙間に押し込み、万力で固定して一日放置します。生活感たっぷりの背景ですが、ここが管理人の板手入れとかゴソゴソやるスペースです。右端に写ってるINAXのペット用温水外水栓お勧めです。真冬でもスキー場から帰ってきてグレーチングの上で板をザバザバ洗ってます。

 ↑ 変形したエッヂの残留応力があるので、どうしても真っ直ぐにはなりませんが、とにかく圧着します。 それでもソール側に少し持ち上がった形で接着されますが、最終的にはファイルで削り、補修箇所を気持ち低く、ベースエッジ角度もそこだけほんの少し下げる感じで仕上げています。

 ↑ 一日放置してこの程度になりました。この後、削って仕上げるわけです。

[チャレンジ編]
下の動画は、エッジが外側へ曲がってしまった重症例です。この場合は、潔く業者に出しましょう。魔が差した管理人は、試しにエッジを溶接してみましたが、ソールも溶けます(-"-)(当たり前か)。良い子はマネをしないように。せっかく撮ったんで載せますが、余興と思って下さい。破損のリスクを心配してレールに突入出来ない方には、ある意味吹っ切れる動画かもしれません。こんなことしても結構思っていたより普通に滑れるもんです。管理人は、アイスバーンのカービングとかも好きなんですが、そういう時はそれ用でやりましょう。

↓ エッジが横へはみ出した重症例です。

          

バインディングのチューンナップ(UNION CONTACT限定)

管理人の見た限り、ジバーの間ではUNION CONTACTの使用率が高いように思います。通常のバインディングと比べるとひじょうに軽く、ジバー使用率が高い主要理由はこれではないかと思います。管理人の場合は、派生モデルのギギラフシグネチャーCONTACT-Pro(11-12)を採用しております。別にギギラフのファンでもありませんし、 そもそもどんな人かすら知りませんが、同モデルの方がさらに軽いという理由だけで選択しています。さて、使用率が高く定番化している機種ということもあり、おそらく皆感じているであろう固有の不具合についての管理人の対処法を紹介してみようと思います。チューンナップの専門家ではありませんが、一応、金属加工から化学系の技術経験者でDIYマニアでもありますので、 そういう分野が苦手なスノーボーダーの方には多少なりとも参考になるかもしれません。

先ずはその軽量ぶりを⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒
FLAX-RKと比べて約22%軽い結果ですが、この機種変時の管理人の感想は、「全然違う。早く教えてよー!」というものでした。私見ですが、重心軸に近い胴回りに少々重いプロテクターを装着しても大勢に影響はないように思いますが、一般的に、リップの"R"を最大限利用し、パンピングによってテイクオフの浮力を生み出す キッカーやパイプと異なり、フラットランドでのオーリー等でテイクオフパワーを生み出す局面が多いグラトリやジブの場合、膝下・足元の重さはトリック時のキレに物凄く影響があると思います。年配や女性の挑戦者については、その差はさらに効いてくると思います。管理人の場合、もう普通のに戻れません。

↑CONTACT-Pro。片方で830g。

↑数年前までの管理人レギュラー使用モデル。FLAX-RK。片方で1060g。

軽量化のために、一般的なバインディングと違う工夫がされていますが、その中でも通常のメンテナンスに直接影響するアンクルストラップとハイバックのヒンジ軸の共通化について。一般的なバインディングの場合、両者の軸は個別になっているケースが多いと思います。これらを共通化した場合のヒンジ部にかかる力はトリック時も 想定するとひじょうに複雑、かつ、圧力も相当強いもので、管理人が以前使用していたK2のこのタイプの製品では貫通孔が半シーズンで楕円に変形してしまった経験があります。通常の工業製品で設定されるようなヒンジの挿入軸と貫通孔のクリアランス設定では「がたつき」となり、ターンのクロスオーバー時やトリック起動時などの"新しい運動方向への初動"という 最も繊細な感覚が要求される重要な局面で影響が出ると考えられます。その対処として、CONTACTでは該当部品をテーパー状にして、ボルトを締めることによりこのクリアランスを無くしています。したがって、滑走前の始業点検で同ボルトの増し締めは必須作業となります。もちろん、正規の使用方法からいけば、他のバインディングでも必須には違いないのですが、 上記理由からCONTACTの場合、この部分の緩み許容範囲に関して安全率が通常より低く設定されているということを頭に入れときましょう、という意味で強調して述べています。緩んだままで滑走した場合、軸受けのテーパー形状が変形してしまう事も考えられ、そうなると手遅れだからです。また、UNIONの他の製品であっても同様のパターンの機種については、当然、同じ事が いえると思います。

↑左奥の黄色いのがFLAX-RKです。青○で示した箇所がアンクルストラップヒンジ軸の位置で、緑○がハイバックのそれです。右手前の黒いのがCONTACT-Proですが、この二つの軸を共通化して一本で済ませています。強度面については良く考えられており、左記メンテナンス さえ忘れなければ、管理人の場合何ら問題は感じていません。ただし、構造上の欠点として、アンクルストラップのヒンジ位置を高めに設定したいといったような細やかな要求には対応できません。

↑上の写真赤矢印で示した貫通孔は、サイズ調整用の予備孔です。カメラと撮影スキルがダサいので分かりにくいですが、奥に向かって径が徐々に小さくなるテーパー形状です。挿入軸側に逆テーパー形状のスチール製アダプターを介して締め付けることにより、軸センター位置がきっちり 決まる仕様になっています。軸受け側素材はベースプレートでもあるデュポン社製ザイテルナイロンとのことですが、メーカーHPでは最高級とあるだけでグレードまでの記載はありませんでしたが、造形精度は高く、良く出来ていると思います。

固有の不具合と前述しましたが、管理人が感じていたのは下の二点です。

  • 1.フォワードリーンアジャスターのねじの緩み(CONTACTは問題ないと思います。CONTACT-Pro限定)
  • 2.トゥーストラップの調整用ヒンジ孔の掴みの弱さ

以下に、管理人改造例を紹介します (※管理人使用モデルは11-12モデルです。直近モデル等は改良されている可能性もあります)。

↑不具合1.対策
純正のクイックリリースタイプは気が付くと勝手に緩んでいたりして怖かったので、通常のCAPボルトに交換しました。ハイバックの角度を変えるときは工具が必要になりますが、管理人のように変えない人には関係ありません。 たかがネジの交換ですが、部品調達に苦労しました。JIS規格ですが、超レアなM5のピッチ0.5mmで、ホームセンターのバラ売りコーナーにはまずありません。管理人は近くのネジの問屋で手に入れましたが入手は困難です。各自がんばりましょう。ねじ長は純正9mm(※メーカーHPによると)ですが、あくまでこれはUNIONのクイックリリースタイプで丁度良い長さです。 通常のボルト締結する場合は、管理人の場合ネジ長10mmしか入手できず数枚のワッシャーで調節していますが、このワッシャー総厚が3.3mmで丁度良くなりましたから、手に入るのであれば、ネジ長は6mmか、7mmで平ワッシャー1枚がベストだと思います。ただ、入手が困難なので、純正のボルトを改造する方が良いかもしれません。

不具合2.対策
一般的な2段階調節式です。ビンディングを外した状態で裏からトゥーストラップを入れる際に2ケ所の受け孔を選んでセットするのですが、この受ける孔が浅過ぎて、つま先先端フィット方式で激しく板を使ったときにズレて違う方の孔にいったりします。これは危険で、ひじょうに鬱陶しいので 下から古いストラップをグラインダーで削って勝手にズレないようなストッパー作りました。ここんとこの設計ちょっとダサいと思います。
(怒`・ω・´)ムキッ↓

↑こんな感じでセットします。良く見えませんが、トゥーストラップの軸を下から支えるように半円状に削り出しています。

以下は改造ではなく、ジブ特有のメインテナンスについての管理人の例です。(通常の滑走ではあまり発生しないトラブルかと思います。)

↑これはジブに限りませんが、ハイバックから脚がはみ出るような動きばかりするので、ゴム系が剥がれます。柔軟性に追随しなければならないので、こういう箇所の接着補修は、管理人の場合、シリコン系接着剤を使用しています。

↑ミスしてレールにヒットすると、しょっちゅうラチェットレバーのカウンターばねがどっかに飛んで無くなります。メーカーHPでは1個2,500円です。最近、きりがないので放置してますが、特に外れたり緩んだりはしません。写真は撮影用に無理に垂れ下げていますが、 ばねが無くてもだいたい正規の位置で止まっています。もちろん都度交換した方が良いです(メンテの説明になってないか・・・)。

ベースプレートはデュポン社製のザイテルナイロンという強靭なエンジニアプラスティックの一種です。ミスしてレールでヒットすると削れたりはしますが、この状態でも何ら問題ありません。一回、トゥー側をやって交換してもらいましたが、 UNIONの場合、このベースプレートとヒールカップ(アルマイト処理したアルミ)については永久保証なので、面倒がらず、購入時はユーザー登録しておきましょう。

[レアな破損例]
下の動画は、バックサイドハードウェイ270を練習していて、左足のディスクプレートを破損したときのものです。ローテーション技の練習している際にこんな感じで引っかけて破損する場合が多いのですが、珍しくディスクプレートだけ破損しました。これは、バインディング の底面全部が板と接触していないUNIONならではだと思います。硬いバインディングで全面接触であれば、のダメージが大きくなっていた可能性があります。しかも、ディスクプレート外周のベースプレートは無事です。ベースプレートの肉厚は見た感じ薄くて華奢に見えますが、永久保証付けてるだけあって、満更でもないようです。

↑右足の内股側のベースプレートが捲れあがって亀裂が走りました。ベースプレートも一瞬とはいえかなり変形しているはずですが、塑性変形はしていません。さすがデュポン素材。今度はポリイミドで中抜きして半分くらいの軽さにして下さい。ブーツ、に比べて バインディングは良いのに当たるとかなりもつのでトータルコストで考えると優秀な部類だと思う。そういう意味ではは手に負えない劣等生。ちなみにディスクプレートはメーカーHPによると2個セットで2,000円。

←今シーズンモデルをネットで調べましたが、AMAZONより楽天の方が安い店ありますね。9/22時点では左紹介のショップが安いです。UNIONの場合、HPで交換部品の通販しているんで、ネットショップでの購入もありですね。管理人の古いモデルよりさらに板とのコンタクトエリアが狭くなっているみたい。管理人も欲しい。去年の旧モデルは2万円程度で安く売ってますが、サイズがXLしかないみたいですね。世の中、うまくできてます。参考までに、管理人はサーティートゥーのJP去年モデルの9インチ使用してますが、UNIONはMLで丁度良いです。

道具_プロテクター

道具選択については詳しいサイトがいっぱいあるのと、あんまり詳しくないので書きません。ここではプロテクターについて。
ジブの場合は、相手が鉄だったりするので、脛膝については絶対外骨格化する事をお勧めします。管理人も 痛い目を見ましたが、レールで跨ぐ際少し引っかけただけで脛にはいって号泣する羽目になります。スノーボード用のパッドは、通常の滑走を前提にしたものが多いので、管理人の場合、バイク用のものを使用しています。以前はモトクロス用のものを使用していましたが、あまりにも重すぎるので、最近は、 バイクツーリング用の薄目のものに変えました。ひじょうに軽いので、ばね下重量はさほど増えません。ただ薄いので、この下にさらにスノーボード用膝パッドを入れています。膝は大事にした方が良いと思います。管理人も若いときにやった古傷と長い付き合いになってますから。それ以外で外骨格化しているのは ヘルメットで、脊髄ガードは外骨格化まではしておりませんがバイクツーリング用のかなり固めのウレタン樹脂タイプ(軽い)を使用しております。それ以外は通常のスノーボード用の一般的なプロテクターで、肋骨部分は二重にしています。かなり重そうに思われるかもしれませんが、上半身はベストタイプで パーツも軽いものばかり選択しているのでそれほどでもありません。以前、ダイニーズ製のダウンヒルバイク用フルプロテクターを試したことがありますが、これは重く、締め付けも拘束衣のようで動けないためボツにしました。動き易さとのバランスになるとは思いますが、何度も言いますが、ジブの場合、 脛膝の外骨格化だけは最低しておいた方が身のためだと思います(経験者語る)。

↑EVSのバイクツーリング用ハードタイプ脛ガード。固定用マジックテープの長さがブーツの関係で長さが足りず、少し手を加えております。片方で220g。

↑スノーボード用ソフトタイプ膝パッド。片方で110g。

↑管理人はソフトタイプ膝パッドの上から、ハードタイプ脛ガードを装着しています。脛ガードだけでは膝にはいったとき泣きそうになるくらい痛いです。一回やって懲りました。ここは冒険しません。両方合わせて 片足で330g。

ジブの場合、「跨ぐ」という作業工程が多いので膝下のばね下重量は重要です。管理人の場合、ビンディング、ブーツも重量最優先で選択しています。ただし、については単純な重さではなく、反発を含めた軽さ(バイク乗りは多分わかるんじゃないかと。スラローム走行するとき、バイク重量軽くても立ち上がりトルクが細いと実際より重く感じますよね。あのイメージ。)と、先端から中心部にかけての重量バランス(回しやすさ)等を勘案して、テイクオフして回すまで含めたトータルでの軽さを考慮して選んでいます。

↑これもバイクツーリング用で、ウレタン製の脊髄ガードです。これをベストタイプの普通のスノーボード用セーフティーベストにマジックテープを加工して装着してます。 このセーフティーベストのフィット方式は、肋骨辺りをマジックテープで留めるスタイルで、肩からではなく肋骨からぶら下げるイメージで、お腹はフリーといった感じで気に入ってます。腰を拘束するタイプは軸が捻りにくいので嫌いで、腰ではなく、もっとかなり上の方から捻るイメージを意識するようにしてから、あまり腰が痛く ならないようになりました。数年前からピラティスをやってるんですが、そのせいかもしれません。とにかく滑る時に、お腹にはなんにも付けたくない派です。フリースタイルのエンジンはここのような気がするので・・・。

↑この脊髄ガードはソフトタイプとはいっても、かなり硬めのウレタン製で厚みも20mm近くあり、この下にセーフティーベストとさらに、半袖タイプの薄手のセーフティージャケットを装着していることから、危険な背面についてもここまでやれば 充分ではないかと思ってます。ただし、減災のための逃げ方習得は必須だと思いますが・・・。

総自研_スノーボード・ジブ関係_News

2015/03/19_更新